握手会とは思った以上にすごい発明だったらしい 下

握手会とは思った以上にすごい発明だったらしい 上の続き。引き続いて、8割位僕の直感(=妄想)で作り上げられたストーリーなのであまりあてにはしないように。

今回のテーマはついに表題の「握手会」へ。ついに危険な領域へと突入する…。

さて、前回はハロープロジェクトによってアイドルがドルヲタと相互に依存し合う存在となったところまで述べた。アイドル業の売上にドルヲタの占める割合が高まるにつれアイドル側もドルヲタをメインターゲットとせざるを得なくなる。アイドルがドルヲタを喜ばせるようなことをし始めると、ますますドルヲタは喜び一般人は引き、ドルヲタの占める割合は更に高まっていく。
しかし、この段階ではまだアイドルは一応アイドルとしての立場を崩していない。あくまで舞台の上で生きるものであり、コミュニケーションとしてはアイドルのパフォーマンスをドルヲタが眺めるだけという一方的なものである。
マスとしてドルヲタ向きのことをやりはじめたとはいえ、各個人を向き始めたわけではない。まだまだ距離は遠い存在である。

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この状況を変えたのがAKB48だ。その仕組みが「握手会」である。握手会は肌と肌を触れ合わせることができる点が重要なのではない。ただファンが触ることができるだけなら、ビリケンさんと変わらない。そうではなく、ほんの数秒とはいえ「一対一」で「会話」を交わすことができる点が革命的なのである。ステージの上から一方的に語りかけるだけ、客席から応援メッセージを送るだけ、ではなく問いかけたら返事が返ってくる双方向性が導入されたのだ。

一旦話はそれるけれども、AKB48ってメディアに露出し始めた頃は新しい悪徳商法が現れた!みたいな感じでニュースに取り上げられることのほうが多かったと思うんですよ。これがいつの間にか国民的アイドルとか呼ばれるようになったのっていつごろからなんでしょう?
1人にCDを多数買わせる行為、気持ち悪いとは思うけどそれが即「悪」かといえるかといったら言えないと思う。人がオリコンCDランキングにどれだけ価値を見出すのか知らんけど、そんな神聖かつ不可侵なものなんでしょうか~?

はい、話を戻します。
この双方向性、基本的にはわずか数秒で終わるものである。しかしその数秒が1日に何度も何度も繰り返されたら、幾千ものドルヲタを相手にするアイドルの側も「さっきもこの人来たな」くらいは気づくだろう。それが複数回続けば、「いつもお世話になってます!」になるのも不思議ではない。(昔の半地下アイドルみたいなAKB48の規模を想定してほしい)
その場限り数秒だけの関係ではなく、半永続的な関係となることも不可能ではないのだ。名前を覚えてもらうのだって夢じゃない。そのためだったらCD100枚なんて安いものだ!
この手法はまたたくまにアイドル業界を席巻し、いまでは握手会をはじめとする「接触」イベントを行わないアイドルはいないほど当たり前の手法となった。ヲタの忠誠度を高めるとともに忠誠度を金に変えてしまう黒魔術といってもいいだろう。

アイドルの世界に導入された双方向性、これは新たなアイドル需要を生み出した。それが「ガチ恋」である。
僕も二週間ほど前に初めて知った単語なんだけれども、ガチ恋とはアイドルにガチで恋してしまい、それを行動に移す人たちのことであるらしい。それまでもアイドルに恋してしまう人はいたけれども、なんらかの行動をとるところまでは行きづらかった。直接メッセージをやりとりする方法がないわけだから。

でも、今は違う。接触イベントで直接話すことが出来てしまう。「あれ、この子かわいいなぁ。今度握手会並んでみよう」→「近くで見たらやっぱ可愛かったし、対応もいい子だったなぁ。これから推していこう」→「また握手したけど、前回のこと覚えてくれてた。こういうの嬉しいよね~」→「あれ、まさか名前まで覚えてくれてた!?これはもしかして…」
もうこのあたりで正常な判断ができなくなってしまう。自分以外も同じような扱いを受けているなんてことはもう本人には見えていない。

「きっとこの子も自分のこと気にしてくれてるんだろうなぁ。もしかしたら応援されているうちに好意が芽生えてしまっているのかも!!??いやまだそこまでは行ってないかもしれないけど自分のことを覚えてくれてるってことは少なくとも印象に残ってるのは間違いない…。今はまだ好きになってないかもしれないけど、なってくれるかもしれないぞ!!!!!!」

はい。一丁上がりー。こうして哀れな養分と化したガチ恋くんはもっと話す時間を作って欲しいがためにCDを買い続けるのでありました。本当に好意を持たれていたら、そんなことしなくても話してくれるよ、なんて声は聞こえなくなってしまった。

しかしそれがいつまでも続くわけもなく、いつか破滅はやってくるのである。 例) CD3000枚を買った乃木坂46生駒ちゃんヲタの末路を御覧ください

アイドルとは、地上も地下もこの破滅しか終わりのない競争によって支えられているのである。オタクらしさとはなにかでも述べたように、オタク文化の特徴として挙げられる特徴の1つが、使った金額の多さと強さが非常に強い相関関係を持つことである。能力や努力は関係なく、技術介入の余地もなく、ただ課金額の多いほうが偉い。それがオタク文化だ。
その中で強くなっていこうと思ったら、ほかのことを犠牲にして課金するしか無い。ドルヲタの場合は、服飾費を削り食費を削りCDを買い増さないとならない。

僕の考えで言うと、この仕組によって支えられているアイドルがまっとうな商売だとは思えない。やはりここには「悪」が潜んでいると感じる。でもその悪の正体は何なのか?それが今のところわからない。