自動運転時代の地政学

自動運転は世界をどう変えるか

自動運転というと、人が運転しなくてもドライブできるねという話がはじめにくる。しかし、そんなことよりももっと革命的なことがおきるんじゃないかと思う。

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

世界地図をみてみると、アジア・アフリカ・ヨーロッパは陸続きになっている。(アフリカはスエズ運河で区切られているが、橋があるので陸路で交通可能であるようだ。) ということは、何日かかるか/燃料がどれくらいいるのかは別にして、自動車がシンガポールからジブラルタルやケープタウンまで無人で走ることができる可能性があるということになる。

もちろん現時点で研究がされているような自動運転は整備された道路を走ることを念頭に置かれているわけで、サハラ砂漠を超えたりは到底無理だ。 しかし最近の加速度的に進化するAI技術を考えればむこう10年以内に先程述べたような大陸をまたにかけるような自動運転車が実現する可能性は十分考えられると思う。 また、おもに中国によるものだけども道路自体の整備も進むだろう。

wired.jp

そして、再生可能エネルギーと電気自動車の組み合わせにより自動車を動かすための限界コストも非常に小さくなると予想される。 もう電気なんて無限にわいてくる資源になると考えてしまっても良い。

そう遠くない将来、自動車は燃料費もかからないドライバーもいらない、ほぼ限界費用ゼロで動き続けるようになるだろう。

エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ

エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ

  • 作者: 竹内純子,伊藤剛,岡本浩,戸田直樹
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2017/09/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

日本の将来

そんな自動運転車が運ぶのは人だとだれが決めたのか。それよりも貨物輸送が大きなインパクトを持っているんじゃないだろうかと思う。

自動運転車は道さえあればどこでも結ぶパイプラインとなる。液体から機械部品、なんでも運ぶことができる。しかも、ルートをダイナミックに変えることすらできる。

陸路というとすごい時間がかかりそうな感じもするが、ウラジオストクからジブラルタルまで1週間ちょいでつくらしい。

f:id:k5trismegistus:20190802232503p:plain

これは鉄路に限られた中国の一帯一路よりもはるかにインパクトの大きい物の流れがうまれることになるだろう。 まぁ多分に僕の妄想が入っているので、絶対こうなるといいたいわけではないが。

島国はこの時代、それだけで不利になる。大陸と陸続きであれば、それだけで安くて手軽に世界市場に参加できるのに、島に住んでいたらそれだけで市場へのアクセスに障壁となってしまう。 マルタ島くらいだったらフェリー網が充実しているのでよいかもしれないけど。

日本はこの恩恵をうけることができない。 ただでさえ何も未来に対する希望がない日本社会だが、一帯一路構想に続いてまたも大きな流れに取り残されることになるのではないかと思う。

イギリスはどうなんだろう、BREXITによって英語がEUの基軸言語でなくなる可能性も高いしそうなるとEUという巨大経済圏にいる強みと周囲でのリンガ・フランカたる言語を母語とする強み両方を捨てることになるのでは?

一方で大陸の大国、中国やロシアは未来が明るそうだ。東西を結ぶルートはかつてのシルクロードのように中央アジア諸国を通るわけだけど、そこらへんはロシア語が通じる。 ロシア語の重要性が増していきそうな気がする。

そこで僕の考えでは、日本が今やるべきことはとにかく大陸と陸路で繋がることだと思う。年金基金を全部突っ込んでもいいくらい。

ちなみにそういう構想は昔からあるようだ。

日韓トンネル

まず第一に挙がるのが日韓トンネルだと思う。九州から韓国釜山を結ぶトンネル。

ja.wikipedia.org

この構想自体はなんと戦前からあるらしい。というか戦前のほうが本土と植民地をつなごうというのが自然な発想なのかもしれない。

最近でこそもめているけど、日本と韓国はともに自由主義だし北朝鮮という共通の脅威を抱えているしで本来もっとも利害が近い国であるはずである。 また経済規模も大きいためトンネル両側だけでの取引だけでもそこそこの規模になるだろう。

しかし、肝心な部分で問題がある。北朝鮮を通れないのでアフロ=ユーラシア大陸へのアクセスができない。

韓国と北朝鮮になんとかよろしくやってもらうか、韓国からさらに中国にトンネルを掘るか橋をかけるかするしかないだろう。

サハリン

もう一つは北海道とロシアのサハリンを結ぶというもの。 宗谷トンネルというらしい。

地図を見る限り、日韓トンネルよりも距離は短く技術的な難易度は低いらしい。 また北朝鮮のような通行できない地域もない。

ja.wikipedia.org

ただサハリン自体人口密度の非常に低い島だしそこから大陸にわたったところで都市はあまりなさそう。北海道側もしかり…。

また積雪が多い地域を通るので冬季は自動車が通れないケースも出てくるだろう。

植民

陸路で結ぶのはむずか

日本もいろいろ問題があるとはいえ、日本程度に政治が民主主義的で平和に生きられる国というのはなかなかない。 でも百万人単位で移住したら、ロシアとかに自治区を作らせてもらったりできないだろうか…。