僕がこれまで訪れたことのある世界の都市は…
台北・ウィーン・プラハ・ブダペスト・香港・広州・無錫・蘇州・上海・マカオ・シアトル・シンガポール・イスタンブール・ベルリン・ミュンヘン・クルジュ=ナポカ・チュニス・ローマ
といったところ。ザルツブルクとかクトナー・ホラなんかは都市ではないのでカウントしない。
ロンドンとかニューヨークみたいな国際都市があまりないのが気になるが、これらと比べても東京都市圏は圧倒的にデカイ。
何を隠そう、東京は世界最大の都市である。
この理由について、前から考えていたことがある。その理由は、鉄道の敷き方にあったのではないだろうかというところである。
僕が思う東京がその他の都市と違うところ、それは地上駅の密度の高さだ。
世界の都市では、都市内を移動するために用いるのは地下鉄、トラム、バス(まれにトロリーバス)であって、それら都市内の交通と地上を走る鉄道※は役割分担がなされている。 地上鉄道は国際列車も多く、遠くに行くためのものなのである。
※トラムも鉄道だけど、ここではJRのあれみたいなのに限定する。英語だとtrainはこっちだけを指すのかな。
この役割分担は駅のつくりにも影響を与えていて、日本以外の大都市の駅は櫛形の語義通りターミナル駅になっていることが多い。そこからいろんな方向に線路が伸びている。 (日本でも阪急梅田駅なんかはターミナルだが、これは路線の端にある。)
一方で、日本では都市内の移動にも地上を走る鉄道が使われている。
地下鉄に比べて、地上鉄道は延伸がやりやすい。このため一度鉄道網をしいたエリアよりも市域が広がったとしても線路を増やすことができる。 そしてトラムやバスに比べて輸送可能な人数が多い。なので伸びた先に大規模な住宅地ができても通勤通学需要を賄うことができる。
もともと日本が鉄道を敷こうと思ったときは全部ヨーロッパの真似をしていたんだと思うけど、なぜ日本というか東京のの鉄道網は特異な進化を遂げたのだろうか。 (もともとはヨーロッパも私鉄が乱立するカオス状態だったのを国がまとめて中央政府が地上鉄道・地方政府が地下鉄やバスといった感じで役割分担を徹底させたとかだろうか…。)
都市の大きさの上限は、交通のテクノロジーによって設定されるだろう。通勤需要を交通網が賄えないようになれば、その都市はそれ以上成長することができない。東京が世界最大の都市になれたのは、延伸がしやすく輸送力の大きい地上鉄道を都市内の交通に採用したことが大きく寄与しているのだと思う。
話はまったく変わるけど、日本の交通事情に特有だなぁと感じるのが交通キャリアが商業施設をたてるところ。 ローマの駅にはちっちゃいショッピングモールがくっついていたりもしたけど、基本的に海外の駅はせいぜい軽食を売ってるところがあるくらいで、ルミネだとかああいう駅ビルというのは見たことがない。 また、高速道路に土産物屋やフードコートがある大規模サービスエリアがあるというのも他の例を知らない。
海外のキャリアはあくまで自分たちは目的地に人を届けるのが目的です、とインフラであることに徹しているのに対して日本の鉄道会社や高速道路は金の流れを外から奪って自分たちにもたらそうとしている。
ひどいなと思ったのが東京スカイツリーの東武鉄道。ツリーができるまでは業平橋周辺に建築途中のツリーを見に来る観光客が来るけどソラマチはないから必然的に周囲を潤していたけれども、開業後はツリー周囲は閑古鳥。 もちろんあくどいことをやったわけじゃないけれども、せっかく東京でも日が当たらない場所だったあたりを選んだわけだから、地域ごと地盤を上げていけるように考えなかったのだろうか。 長期的には自分たちの利益にもなると思うんだけれども。
誰かが言っていたが、ドイツやドイツの影響の強いあたり(チェコとかオーストリア)の人たちはAmazonが便利なことは知っているが、Amazonにたよっていると自分の住む街の商業が衰退することを知っているからAmazonを利用しないという人が多いのだという。(たしかにマルタで知り合ったチェコ人はそういうことを言っていた)
無論そういう公共心など個人の良心に依存する社会にがデメリットがある(不況で余裕がなくなったときなど一気に人の行動が変わるかもしれない。)し、理想論で言えば「合理的な愚か者」が相互作用しているのになぜか住みよい社会ができちゃったというものだ。
しかし、地方都市に言って周囲の商店街が死臭を漂わせている中にそびえ立つ駅ビルを見ると、そういう公共心があれば都市の衰退も防げたんじゃないのかなぁと思ってしまう。
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旅行で感じたことなど