最近ブロックチェーンは正面からコミットしているわけではなく、ニュースみたりしている程度。 今の仕事は電力関連なのだが、インフラの世界からブロックチェーンを眺めると、今まで見えてなかった価値が見えてきた。
分散化というのはブロックチェーンに限った話ではなく、電力の世界でも分散型電源というのがホットなワード。 原発とか大型の火力発電所ではなく、小さな再生可能エネルギー発電所の組み合わせで電力を供給しようというのが世界的な流れなのである。
家の屋根についているような太陽光パネルと、家庭用の蓄電池や電気自動車を組み合わせれば、太陽光パネルの「昼間太陽が出ているときにしか発電できない」という難点を克服することができる。
ここで電気自動車がでてくるのがポイントで、これまで電気を送り届けようと思うとかならず線を引く必要があった。
携帯電話の料金表に「ユニバーサルサービス料金」というものを見たことがあるだろう。 インフラの中には、どんなところであっても人が住んでいる限りサービス提供が義務付けられているものがある。 電話もその一環なのだが、そのわずかな人のために国民全員が負担を強いられているのだ。 携帯のアンテナをたてて固定電話はあきらめて携帯つかわせればよいのだが、残念ながら法律がおいついておらず固定電話回線を引かないといけないのである。
電気事業法にもユニバーサルサービスという考えはあって、電気もどんなところであれ利用したい人がいる限り供給しないといけない。 電気は無線で送り届けることができなかったので、ユニバーサルサービスを維持しようと思えば線をひくしか技術的にとりうる手段がなかった。 でも電力会社はどんなど田舎のポツンと一軒家に対しても、そこに電気を必要とする人がいる限り電線を張らなければはらなかった。
しかしこれからは、そういうところにはわざわざ電線をひかなくても電気自動車を使えば電気を送り届けることができるようになる。 よりランニングコストを小さくするには、屋根に太陽光パネルをつけてバッテリーもおき、天気が悪い日が続いたときだけ電気自動車で電気を送るということもできるだろう。 当然この電気自動車は自動運転で、電気が足りなくなりそうなときに限らず郵便物や宅配便があるときもやってくる。
電池が軽くなればドローンを使って道路を使わずにすますこともできるようになる。
このままだと未来のない日本、これから今までと同じようにインフラを維持することはできず、そう遠くない未来ユニバーサルサービスも見直されていくだろう。 いつまでも問題を先送りにして、突然「もう無理です!あとは知りません!」となる前にこういう新しいテクノロジーで、インフラの低コスト化をしていく必要がある。
さて、さきほど述べたような、「基本は太陽光パネルと家庭用蓄電池で電気を自給自足して、やばそうなときだけ電気自動車ではこんでくる」を実現されると、これまで別のネットワークだった送配電・通信・交通・郵便…が渾然一体となった一体型のインフラができあがる。 これを円滑にまわすためにはまだちょっと足りない要素がある。それが金融だ。
これまでは電気に関する料金は電線網を管理する電力会社に払い、電話に関する料金は電話線を管理する電話会社に払い…という風に、サービスも縦割りな分支払いも縦割りでよかった。 しかしいろいろなものが乗り合いになってしまうといろいろと難しくなってくる。
電気などを運んでくる電気自動車もライドシェア的に個人が貸し出しているものかもしれず、その移動に使われた電気代は電力・郵便・宅配それぞれで按分しないといけない。 しかもその工程は自動化されていて、機械同士が支払いをする世界になっている。 そんな煩雑な取引を今の銀行を中心とした金融システムが担うのは難しいだろう。
しかも今でこそ日本はコンビニに行けばATMがあるけど、金融はユニバーサルサービスは担保されていない。 今後地方からATMは消えていく一方だろう。いわんや銀行の支店なんてもっと早い勢いでなくなる。
となると、銀行に頼っているとそもそも地方では金融サービスがうけられないという状況も発生するだろう。 今ブロックチェーン技術を銀行口座のない20億人が金融サービスを受けられるようにするために使おうというプロジェクトは多いが、その中に占める日本人の割合も少しずつ増えていくのではないだろうか。
銀行口座ない成人は世界で17億人超、最多は中国の2.2億人 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
というわけで、このUtility3.0の世界では、統合インフラのなかで金融部分を担うのは銀行ではないなにかになるというのは確信できる。 そして、いまのところ本命はブロックチェーン技術だと思う。