市原ぞうの国と過去の記憶

おそらく20年ぶりくらいに、「市原ぞうの国」を訪れた。 夏休みということもあり、駐車場の空きを探すのが難しいくらい混んでいて、

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前回訪れたときは小学校に入ってすぐくらいということもあり、中の記憶もあまりなく、ぞうの背中に乗ったという記憶が残っているくらいだった。

市原ぞうの国とは

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実は市原ぞうの国は、もともと動物芸能プロダクションを母体としているのだとか。 去年が開園30周年だったため、園内に30年の歴史を写真で綴る展示がされていたのだが、その動物プロダクションについても紹介がなされていた。 タモリなど、今の大御所が若かった頃に出演していたCMにも共演させていたりと、日本の動物プロダクションのさきがけである存在だったそうだ。

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その芸能プロダクションは今の園長の方の夫がやっていたようだが、園長の方が離婚し、その後元夫の方も亡くなり一度消滅している。のちに同名で人的な系譜がある会社として再興されたが現在は資本関係がなくなっているそうだ。 ソフトバンクのCMでおなじみの「カイくん」はこの再興された動物プロダクションに所属している。

「星になった少年」との関連

15年前の映画「星になった少年」というのを、タイトルは聞いたことあるし番宣もみたことがある程度には知っていたのだが、実はこの話と市原ぞうの国は密接に関連があった。 当時は先程言及した「離婚」の前で、動物プロダクションと市原ぞうの国は同じ運営会社であった。 ここは家族経営の企業で、その長男、坂本哲夢氏が星になった少年の主人公であるということを知った。

星になった少年 Shining Boy & Little Randy

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  • 発売日: 2014/06/18
  • メディア: Prime Video

園長の長男がタイで象使いになり、帰国後は動物プロダクションでも働いていたのだが、動物をスタジオに送迎している途中交通事故にあいなくなってしまったのだそうだ。

主人公の少年が象使いになり、最後亡くなる話という程度は知っていたのだが、もっと昔の話だと思っていたし、そういう現代的な理由で亡くなったのだとは知らなかった。 番宣映像のテイストなどから、てっきり第二次世界大戦前の話で、死因も南国生活に由来する病気とかなのかと、、。

というわけで、この「星になった少年」のモデルである実話にも登場し、映画そのものにも出てくる象はまだ存命で、市原ぞうの国で会うことができる。

ほかのお客さんの多くは小さい子供をつれた家族なのだが、数人、ひとりで来ている相当な象好きの人がいた。 もしかしたらこの映画のファンだったか、もしかしたらなくなった坂本哲夢氏の知り合いなのかもしれない。。

時が止まった部屋

で、もちろん動物たちを見に行ってきたわけだが、動物とは関係なく印象に残った展示があった。

現在では30周年記念館という名目になっている「つみきハウス」という小さな施設。ここはもともとなんだったのかはわからないが、少なくとも前述した坂本哲夢氏が亡くなったときにはお別れの会がそこで開かれたと言うし開園当初から存在はしているようだ。(亡くなったのは1992年、開園から3年しかたっていないことより)

そして、この「つみきハウス」の一角に、「TETSUMU'S ROOM」というコーナーがあった。その坂本哲夢氏が生前愛用していたアイテムが展示されているんだと思う。(こういうのがあるところが家族でやってる感がすごい) どうもカート等レースをやっていたのかヘルメットや、ATOMICのスキー板(カービングじゃない、真っ直ぐな板!)などアウトドアなアイテムが多かった。

自分が生まれた年に亡くなっているということもあり、自分がそのアイテムたちと同じ時代を生きたわけではないのだが、自分が小さかった頃に、親戚の家にあった「ちょっと古いものたち」というテイストがあった。 特に自分の父方の親戚はスキー場でペンションをやっており、しかも全盛期がすぎていたため自分が行くようになっても「古い」ものがたくさん並んでいたことを思い出す。

全然象は関係ないのだが、このわずか一角の展示が、時間が許せば1時間くらい眺めていられそうな、とても懐かしくて見ていたいものとなっていのが印象深い。

記憶の外部化

僕は結構ものを捨ててしまうタイプで、いらなくなったものはいち早く減らしたいというタイプである。 引っ越しが多く、そのたびにいろいろ処分しているということもあり、自分だけでなく家族みんなそんな感じ。

一方で、前述したペンションを持っていた父方の親戚一家はずっと同じところに住んでいるということもあり、かなり古いものがのこっている。 もともと2世帯住宅で、一回には僕の祖父母が住んでいた。祖父の方はもう20年近く、祖母の方も10年くらい前にこの世を去っているのだが、未だに1階のキッチンは当時の様子がある程度残っているくらいだ。さすがにそのままではないが、、。

自分の日常が、過去を頭の中の記憶以外で残さないような生活をしているぶん、過去を見せてくれるようなものに弱いのかもしれない。