「Googleが消える日」とは違う理由でGoogleが消える日

前々回の記事で、StadiaやGeforce nowのようなクラウドゲーミングは、ゲームにとどまらず他のアプリケーションにも同様の流れがでてきて、ここ10年のスマホ「プラットフォーム」栄光の時代が終わるきっかけにもなるのでは?ということを書いた。

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1ヶ月くらい前の話なのだが、もうひとつ同じようにプラットフォーマーの栄華を脅かしそうな話がある。

中国産アプリを排除するだけでなく、中国製のスマートフォンに対してアメリカ合衆国企業のつくったスマホアプリをインストールできなくしようという動きがある。

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HuaweiはもうGoogleのサービスにアクセスできないため、Androidこそ使えてもGoogleのアプリストアやアプリのフレームワークの利用を排除されている。 このため、独自のアプリストアを作っているし、Google Play開発者サービスに変わるHuawei Mobile Serviceというのも作っている。

iPhoneしか使ったことのない人は知らないかもしれないが、iOSはAppleのアプリストアしか使えないがAndroidは一応OSとアプリストアは切り離されていて、AmazonなどGoogle以外がアプリストアをやっていたりする。 また、GoogleのサービスもOS自体にインテグレートされているわけではなく、Google Play開発者サービスというOS外のソフトウェアで実現されている。 なので、iOSだけどAppleのサービスを使わないことは不可能であるが、AndroidだけどGoogle系のサービスを使わない、は一応できる。 (中国メーカー以外でも、AmazonはFire OSというAndroidベースのOSを自社製タブレットやTVスティックに使っていて、これらにはGoogle Playストアが入っていない代わりにAmazonアプリストアが入っている。)

さて、今のスマホ市場における中国メーカーのシェアはどれくらいかということを調べてみると、2019年Q3の時点では40%超のようだ。

2019年Q3スマホ世界シェアTOP10【順位に大きな変化なし】 | telektlist

「その他」が16%ほどあるが、この中の中国勢の割合によっては50%を超える。 更にいうと、多分この調査で対象になっているのはちゃんとしたブランド品だけで、チュニジアの路上で売っていたようなどこのものかわからないスマホなんかは調査対象になっていないだろうと思う。

なんとうちは現在全員Xiaomiのスマホをつかっている。家族三人それぞれmi9SE, mi8, mi5。mi5は、当人がつかっていたやつが壊れてしまったので代替機ではあるが。

このように我が家や新興国では、中国製スマホは猛威をふるっている。 この状況で、米国産アプリ禁止はもはや中国つぶしにはならず、むしろアメリカつぶしにしかならないのでは?と思う。

自分に年間100万円の所得しか無いと想像した上で、Instagramは使えないがTikTokが使える2万円のスマホとTikTokが使えないがInstagramが使える6万円のスマホ、どっちを買うだろうか。 多分、前者を選ぶだろう。

Google PlayよりもHuaweiストア、WhatsappよりもWechat、InstagramよりもTikTokが新興国では使われるようになり、ネットワーク効果でどんどんアメリカのサービスは追いやられていくという未来がきそうだ。

これが5年前だったら中国メーカーは独自でアプリストアもフレームワークもつくりだせず潰されて行っただろうが、いまとなってはおそすぎる。

いまでこそ、我々のインターネットとは異なるインターネットが中国にもうひとつあるみたいな状況だが、徐々にいまのインターネットから金盾の向こう側にうつる国が出てきていってもおかしくはない。 アライアンスに入れば天安門事件が検索できないのと同じようなグレートファイアウォールをインストールしてあげますよ、と情報統制技術を輸出しだすとか、ありえそうだ。

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