フリーランスの話

僕は昨年夏にマルタ島に行っていたとき、一応個人事業主として業務委託の仕事をしていた。 というわけで、ほんの一時期だけフリーランスエンジニアであったこともある。

今回は、そういうなんちゃってではなく、フリーランスでやっていくには覚悟がいるよ、という話。。。

3倍の稼ぎの問題

3Dデザイナーなのだが、不思議な経歴で一時期だけ生命保険の営業をしていてフィナンシャルプランナーの資格も持っているという友人(10歳以上離れている友人ができた)が、その人は「フリーランスは収入が正社員の3倍ないといけない」といつも言っている。 将来、厚生年金に比べて圧倒的に受給額の少ない国民年金をもらって、厚生年金受給者と同じ暮らしをするためには相当の額の貯金が必要。それを実現するには、厚生年金をもらえる会社員の3倍のインカムをあげ、貯金する必要があるのだという。

そして、「年金なんかあてにしてない」「老後なんて自分にはないから今が良ければ良い」といっていた人が実際年をとって苦しんでいる姿を多く見てきたそうだ。

僕と同じくらいの年代で、フリーランスエンジニアだ、とそこそこ生活レベルを上げてしまっている人もいるが、ふーんと思いながら聞いていた。

機材の問題

また別の人で、フリーランスでカメラマンをやっている人がいる。(こっちは5個くらい上だったかな) このひとから聞いた話で面白かったのが、プロのカメラマンの間では、機材にお金をかけていない人はなめられるという話があった。

カメラマンに仕事を発注するということは、その人のスキルに対してお金をはらっているだけでなく、その人の持ってくる機材に対してもお金を払っている。だから、お金をもらっている相手に対して、そのとき手に入る最善の機材を用意しないのは、手を抜いているのも同然だ、ということだった。

で、その人は「年金なんか頼りにしてない」「自分には老後なんてないと思ってる」と、まさに前述の元保険営業さんの言っていた危ない言葉を言っていた。

チャレンジが難しい社会

企業に社会保障の責任をもたせる今の仕組みが、会社の外に出ること、自分で会社を興して人を雇うことに対してブレーキを掛けてしまっているのは否めないように思う。

正規・非正規の格差なんか議論になるが、日本の社会保障が企業任せになっているのは制度としてどうなのかなぁと思う。 もともとは人を雇うということに対する重みをつけて人の使い捨てを防ぐような仕組みを目指していたのかもしれない。

雇用の流動化がおきはじめているのにあわせて、企業も適者生存でいいように、会社単位ではなく人単位になっていくべきだとは思うが、しばらくは変わらないだろう。

コロナの助成金も、個人にではなく会社や店舗に対して与えられることになっている。 でも、本当は個人に対して行って、労働力のリバランスが行われるようにしたほうがよいのではないだろうか。

フリーランスとして生きるには

かように、今の日本社会はフリーランスという生き方に対して厳しい制度設計となっている。目先のインカムが増えるからと言って安易にフリーランスというのは、なんか怪しいなぁと思う次第であった。