パブリック・エネミー千羽鶴

ウクライナに折り鶴を送るという狂気!みたいなタイトルのニュースが数日前ニュースサイトを騒がせた。

www.sanspo.com

これで登場してくる人たち、括りで言うと難しいのだが、、ひろゆきなどインターネット上で「正論」と言われるような意見を述べると言う意味で<正論>派とでも呼んでみようか、この人らはこの折り鶴事件を自分たちの人気取りのために利用しているように感じる。

印象操作

あたかもウクライナ本土に送る救援物資を押し退けて折り鶴を送ろうとしていたかのようにミスリードを誘っているとりあげ方がなされているが、大元の噛みつかれていたニュースでは、折り鶴はウクライナ現地に送られようとしていたのではなく、駐日ウクライナ大使館に送るために集められていたそうだ。

まぁ、大使館の人たちも暇ではないだろうと思うので、送られたところで多少迷惑と言えば迷惑だとは思うけれども、ウクライナへの物流を邪魔しているわけでもない。

DaiGoは「折り鶴の意味は日本人にしかわからない〜」と言うけれども、ナラティブの作り方なんかいくらでもある。「世界各国でウクライナの平和を祈ってもらってます。日本でも、日本の伝統に沿って平和を祈ってくれています。」みたいな言い方をすればリリースのネタにしようはあるだろう。

まぁ僕も折り鶴を折ったり送ったりするのは無意味だと思うし、特に災害時に被災地にこんなものを送りつけるのはやめようという周知をした方がいいとは思うが、こうも折り鶴をピンポイントに標的にバッシングするのには意図を感じる。

叩くだけで人気が取れる千羽鶴

<正論>派はインターネット上でだけ声がでかい人たちにウケのいいことを言うことで、自分のお気持ち表明を祭り上げてもらうことで生きている。 Youtubeの再生数を稼ぎ、優良メルマガの登録者を増やし、場合によってはマスメディアに出演することで収入を得ている。

千羽鶴というのは、これまでも災害が起きるたびにバッシングを浴びる話題としてよく出てくる。

貴重な救援物資の輸送力を減らすという迷惑な行為であるというのもあるが、千羽鶴には古い因習っぽさ、事実よりも気持ちが優先される日本の悪文化(日本に限らないのではと思うけど。)といったものを感じさせるというネットで声のでかい連中が嫌う要素が多く詰まっている。

この点で千羽鶴というのは、叩いておけば人気が取れるイージーな話題なのである。

事実、折り鶴発言を取り上げたYahooニュースのコメント欄には、折り鶴と同等に無意味なコメントが並んでいる。

こいつらに、「ヤフコメを書いている暇があったらバイトして義援金を送れ」とは言わない(まぁ折り鶴と違ってコメントを書くのはそもそも善行をしようとしての行為ではないけど)

わかりやすい対立構造を作り出すやつを信じるな

ひろゆきなんか特にそうだが、正論派は世の中をよくしようみたいな気持ちはない。 自分の支持者層の意見を代弁して忠誠度を高めることにプライオリティをおいている。

人と議論しているようで、単に自分の支持者の空気を読んでその主張をなぞる。そうすることで、支持者に対して自分は君たちと同じ側にいるぞとアピールできる。 相手が何をいっていようが、その内容を聞くつもりがない。

その権化ともいえるドナルド・トランプももちろん、社会の分断を強めて自分の人気取りに利用しようとしている。

www.47news.jp

社会に分断を作り出し、片側の人間に「あちらは敵だ、一緒に戦おう」とアジテーションを行う。

複雑な世界は簡単に説明できない

僕の学生時代の専攻は複雑系というものであった。ただし、あんまり真面目に研究に打ち込んだわけでもなくあまりよい学生ではなかったのかもしれない。

複雑系の科学をこの記事の主旨に合わせて説明すると、、

世界には多項方程式でも微分方程式でも解くことができない問題が存在する。この事実を認めた上で、理学的に解くことはできないけれども工学的に「役に立つ」部分的な理解や近似解を求める手法を軸にした科学

といえるだろうか。この手法は社会問題の分析にも応用できる。

社会問題は、複雑系の科学が対象にするほど複雑な問題である。 わかりやすい二項対立構造で片付けようとする人間は、欺こうとするものである。

多くの人が死んでいる事態を自分の人気取りのために使う人間を信用してはいけない。