運命の分かれ道

僕の人生の中で、よく似た二人がいる。

T君

京都の中学時代の友人。僕が東京に帰ったこともあり、一年しか関わることがなかったが本当によく遊んだ。

ミリオタで、学校の弁当に戦闘糧食を持ってくるような人。船が沈む様子が見たくて、ダンボールで作った船を鴨川に流して遊んでいた。

中学卒業以来、会ったことはないが突然電話がかかってきて、海上自衛隊に入ったところまでは知っていた。

中学校の頃までのイメージで言うと、空気階段の水川かたまりみたいな感じ。

S君

高校時代の友人。高校卒業後もたまに遊ぶ。

こちらもミリオタだがそれを仕事にすることはなく、趣味のサバゲーを楽しむ程度。 先日横田基地のフレンドシップデーに一緒に行った。

イメージで言うと、三四郎の小宮みたいな感じ。

共通点

T君もS君も、僕の知っている範囲では眼鏡で筋肉が少ない細い体型、それでいて口が悪いという共通点が多々ある。 T君が高校生になったら高校生のS君みたいになって、そのあと大人になったら大人のS君みたいになるんではなかろうか、と勝手に思っていた。

T君との再会

去年の8月にT君とまさかの再会をする機会に恵まれた。なんと15年ぶりである。 Facebookを開いたときに、「今日誕生日のひと」い京都時代に同じ塾だった人がいた。懐かしいなーと思って開くと、その人の友達一覧にT君がいた。 そこで、T君にFacebookメッセンジャーで連絡を取ってみたわけである。

ちょうど東京で働いているということで、すぐに会おうという話になった。

待ち合わせ場所で勝手に大人のS君の姿を思い浮かべながら待っていると、そこに現れたのは期待とは似ても似つかぬ、筋骨隆々の男が立っていた。 髪型こそ違うけれどもそこにいたのはドラゴンボールの孫悟飯(青年)だった。

T君の生きてきた道

T君によれば、中学を卒業した後全寮制の高校に入ったそうだ。そこは毎日先輩から腕立て伏せを強要されるような環境であったそう。

そして高校を卒業後海上自衛隊に入ってそこでもまた筋トレの日々を送ることになった。 自衛隊をやめてからも土木作業員や体を使う仕事についているのだという。

もちろん肉体労働なので、世の中的にはガタイのいい人が揃っている業界だが、その業界の中でも仲間に「胸板厚いな」と言われているんだそう。

顔に刻まれた時間

そんなわけで最初僕はその目の前に立つ孫悟飯の T 君だとは信じられなかったわけだが、逆にT 君からしてみたら僕の姿は中学時代と全然変わっていないそうだった。

T君とわかれてからの15年間の生き方が外見という形ではっきりと現れている。

職業の貴賤というはなしではなく、ストレスの多い仕事少ない仕事というのはあるだろう。

僕はコミュニケーションのストレスに弱く人との交渉にストレスを感じる、、のだが、いうてたかがしれている。

T君は自衛隊の船乗りとして閉鎖環境におかれた上、東日本大震災の救援にも参加している。(その時の話を降ったら、あんまり話したがらなかった)

(高校の頃からタバコをすいはじめたということなので、老けたのはそれも原因なのかもしれないが)

S君の生きてきた道

一方S君は横田基地のフレンドシップデーにもいったしで、ちょくちょく会う。 S君はS君なりに辛い思いはしていて、ストレスがないわけじゃないが、半公務員のような仕事で基本毎日定時帰り。

もちろんそれぞれに大変なことはあるけども物理的に殴られたり不眠で働かないといけないような仕事でもなく、T君に比べれば間違いなくストレスの少ない暮らしをしているはずだ。

それは見た目にも表れていて、やっぱり変化は少ない。

別に生きた時間の長さ

というようなことで、見た目はよく似ていた二人であるがその後の人生の選択により、まったく別の人間になってしまった。

就職活動をしているときにも小学校の同級生とばったりあう機会があった。 もともとそれほど大親友というわけでなかったのもあり、その後また会おうとかそういうことにはならなかった。

今回のS君は、一年間とはいえほぼ毎日遊んでいた仲。 再会ももっと盛り上がるかなと期待していた程にはならなかった。

単にあわなかった時間が長いのもあるし、その間置かれてきた環境がまったく違うと、やっぱり昔には戻れないんだなと思った。