国家身体

バースト!  人間行動を支配するパターン
研究室にあったからタダで読めた
3000円かけて買うほどの価値は無いと思います。
あくまで「読み物」で、説明が軽すぎ?
 

一部では有名な研究者であるバラバシの「バースト」を読んだ。
中身としては「ベキ乗則」というものの紹介で、この内容でここまでページ数を使う必要はあるのかなぁ、という感想。科学読み物として読みやすくということなのだろうが、半分に圧縮できるだろうという内容だった。
特に、中世ハンガリーでの反乱の話は最後にむりやり本筋にコジツケてはいるが、筆者が自分の先祖の話をしたかっただけなんじゃないだろうか。

しかし、本筋との関連がないという点を無視すればなかなかおもしろい話だった。

ジェルジュ・セーケイという名の、もとは単なる一傭兵がほんの数ヶ月の間でコンスタンティノープルを取り戻す十字軍の首領に任命され、十字軍本来の任務を捨てて貴族たちに反乱を起こし一時はハンガリー国土の半分を占領したものの最後は処刑される、という話であった。

最後の処刑されるところが興味深い。もちろん中世の歴史記述なので、本当かよと突っ込みたくなるが…
ちなみに、『監獄の誕生』冒頭で語られるダミアンの処刑シーンと同じような描写なので、そういうのが苦手な人は読むべきではない。

ジェルジュを処刑するために、鉄製の玉座、王冠、笏が用意された。
そして、それらを赤くなるまで熱する。
そのアツアツの玉座にジェルジュを座らせて、同じくアツアツの王冠をかぶらせて笏を持たせる。
封神演義を読んだことがある人は炮烙を思い出したかもしれないが、同じような感じである。

炮烙よーん♡


次に、目の前で弟を斬殺する。さらに、アツアツのヤットコを使って肉をひきちぎる。
こういう系での定番とも言える、ちぎったところに溶かした鉛やアツアツの水銀や松脂を流し込む、はなかった。
そして、ここからがポイントなのだが…

反乱の協力者たちに、ジェルジェの体に噛みつくように指示するのである。
拒否した協力者はやはりその場で斬殺される。

「反乱」というのは「国家」という「身体」に「噛みつく」行為であり、国家という身体に噛みついたものは同じく「噛みつかれ」なければならない、ということなのだそうだ。

ここまできてようやく、ジェルジュは自分に噛みつくかつての仲間に「犬め」といいながら絶命したそうである。

「国家身体」(Body Politics)という言葉があるが、まさしく国家は国王を頭とする身体に表象されていたのだ。

『リヴァイアサン』より


なんのオチもない話だし、だからどーした、という感じだろうが、少なくとも僕はすごく興味を持った。

政治の美学―権力と表象
これは面白かったです。