封神演義 外伝を読んで23巻を一気読み直し

全くもってニュース性がない話なのだが、偶然「封神演義」の外伝が発売されていることを知った。 そういえばちょっと前に新しいアニメをやるとか言ってたなぁと思ったけど、いつの間にかもう5年も前の話だったらしい。 そのアニメと合わせて作られたものだったそうだ。

早速読んでみた。 もう5年経っているのでネタバレも何もないと思うのが、この外伝は太公望(伏犠)が全てが終わった後にタイムトラベルして、本編の物語に介入するというストーリーになっている。 というわけで本編のストーリーにも絡みながら進むので、単に懐かしいキャラが出てくる以上の懐かしさがある。

封神演義を一気読みする

外伝を読んで、あまりの懐かしさについ電子版で全部買い直してしまった。

小学生の頃に読んだ漫画って、どうして時間が経ってもこんなに鮮明に覚えているんだろうかってくらい覚えていた。 高校生になって初めて読んだ漫画なんてあんまり覚えていないのに。

懐かしいなーと思いながら23巻を2日で読み終えてしまった。

今回はKADOKAWAのブックウォーカーで買ったのだが、残念なことが一つ。 それは、「駄文」も「断崖絶壁今何処」も収録されていないこと。こえだめがブームになった世の中の話も、集英社ビルが変身する熱い展開も読めない。(これは買うプラットフォームによって違うのかな?集英社のサービスだったら読めたんだろうか。)

k5trismegistus.me

藤崎竜版「封神演義」

ちなみに、この漫画の封神演義は原作の封神演義とはストーリーもキャラクターの生死もかなり異なっている。

元々中国の原作である封神演義は読んだことがあるのだが、ストーリー的にも殷を倒してオシマイ。 女媧はむしろ良い神様として出てくるし、申公豹はただの嫉妬深いだけの道士だ。 宝貝も、空中に放り投げると相手の頭を叩き割るものばかり。

この原作をアレンジした安能務という人の封神演義の小説が日本ではヒットしたらしく、日本の封神演義のイメージはこれによっているらしい。 このバージョンは読んだことがなく、何が違うのかはっきりとは知らないのだが、原作には存在しない「雷公鞭」はこのアレンジバージョンで登場しているそう。

さらにアレンジがされたのが藤崎竜版「封神演義」。

改めて封神演義の視覚表現の凄さ

封神演義の魅力の一つは「宝貝」だけれども、原作のものをきっと小説の描写通りに漫画にしても全く映えないものだっただろう。 ○○鞭はただの鞭だし(ただし、中国の鞭はいわゆる「むち」ではなく、金属製の打撃武器。打神鞭はストレートに鞭)○○幡は呪いのための「のぼり」だし、「陣」に至っては何を言っているかわからない。

そんなただの呪いの道具であった「○○幡」を、盤古幡・六魂幡になったり、謎の存在であった「陣」を亜空間として表現してみたり、物語が進むにつれて小説との乖離が大きくなっていくので、後半になるほど宝貝がSFっぽくなっていく。

太公望が「太極図」を手に入れたあたりから、空中にお札のような文字が浮かんでいる表現が増えてくるのだが、原作の訳のわからない描写からよくこの視覚表現を思いついたなぁと思う。

この「万仙陣」みたいに絵と文字の表現も好き。絵というより図って感じ。

また、太公望が仲間に嫌味を言っているところを、比喩として蛇にしてみたり、、こういうのってアニメだとどうしたんだろうか。 そのままアニメにしていたらすごく寒い表現になっているような気がしてしまう。

くどくないメタ表現

また、特徴の一つとして、通していわゆるメタ表現が多用されている。読者に語りかけたりするやつ。

本来漫画におけるメタ表現は好きではない。ここぞというときにドヤって感じで使われると鼻につく感じがするのだが、ここまで当たり前に使われているとそういう漫画なんだなと納得してしまう。

というわけで

ストーリーも壮大な割に巻数も少なく読めるので、ぜひ読んでみてください。