ゴールデンウィーク前半、黒部ダムを見てきました。
黒部ダム・黒部第4発電所
黒部ダムを知らない人のためにWikipediaから引用すると、
黒部ダム(くろべダム)は、富山県東部の立山町を流れる黒部川水系の黒部川に建設された水力発電専用のダムである。1956年(昭和31年)着工、171人の殉職者と7年の歳月をかけて、1963年(昭和38年)に完成した。貯水量2億トン。
黒部川には太平洋戦争以前から黒部川第1〜第3発電所(すべて水力)までが存在していたそうですが(現在では第1はなさそう)、戦後の関西での電力不足のためさらに大きな水力発電所を作ろうということとなり作られたのが黒部川第4発電所です。
映画になったりプロジェクトXで取り上げられた難工事だというのは知っていたんですが、ダム自体ではなくてダム建設のために資材を運ぶトンネルが難工事だったというのは知りませんでした。
黒部第4発電所の最大出力は33万5000kWで、日本初の軽水炉である敦賀発電所1号機と同等です。
黒部ダムに向かうルート
どうでしょうバカのみなさんはピンとくると思いますが、黒部ダムを含めた「立山黒部アルペンルート」という観光ルートがあります。これを走破するのはとても大変なのですが、ダムをみたいだけなら信濃大町側からいけば比較的すぐ。
詳しくはこちらを見てください。
信濃大町から扇沢までバスで40分、難工事で有名な関電トンネルを電気バスで20分弱。合計1時間ほどで黒部ダムです。信濃大町〜扇沢のバスと関電トンネル電気バスは接続時間が考慮されていてほとんど待ち時間はありません。 残念ながら?バッテリー技術の進歩により関電トンネルのバスはバッテリー駆動になってしまいトロリーバスは廃止されてしまっています。立山トンネルのほうはまだトロリーバスにのることができる様子。
※ブダペストでトロリーバスにのったことがありますが、けっこうパンタグラフがはずれてそのたびに運転手が直しに行く。
黒部ダム駅レストハウスでは、黒部ダムをみながらダムカレーが食べられます。
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電力の重要性
関電トンネルの工事は難工事だったといいますが、171名の殉職者の犠牲がありました。(でも、黒部川第3発電所はその倍近い殉職者が出ているらしい。。。) わずか80mを掘り進むために7ヶ月もの歳月を要したとか。
この犠牲をはらってまでも、発電所というのは必要なものなんだなぁーという感慨を持ちました。 開発当時は戦後の復興期、あらゆる産業で必要な電力はまさに社会の血液であり、それが不足するということはすなわち社会全体が栄養失調になってしまうようなものだといえるでしょう。
お金が経済の血液とはよくいいますが、エネルギーもまた血液です。
日本では、めったなことでは停電も起きないため電力業界といえば既得権益・安定・変化のない世界と思う方も多いかもしれませんが、実際はそうではありません。
太陽光発電の普及によって、遠隔地の大きな発電所で発電し超高圧で送電、変電所で徐々に電圧を下げながら各家庭・事業所に配電というありかたから、消費地に近いところで発電し低圧で融通し合うように電気の流れがかわりつつありますし、 天候によって発電量が変化してしまう太陽光発電と組み合わせるべき蓄電の技術やインフラ設計が注目を集めています。
電気は常に供給量と需要量が釣り合っている必要があります。かつては発電と送配電が一体であったので、東京電力管内で電気があまりそうなら東京電力管轄の火力発電所を止めたり揚水水力発電所で揚水をはじめたりできたわけですが、現在はそうも行かなくなってきています。 電力の需要供給のバランスを取るのが難しくなってきています。
しかし、この難題さえクリアできれば電気は自然エネルギーから無尽蔵に得られる、電力の限界費用がほぼゼロという世界も見えてきます。エネルギーが無限に使えるようになれば、これまでとは全く違う人やモノの流れが生まれるでしょう。 たとえば、自動運転とEVが組み合わされば世の中から駐車場というものは一切なくなるのではないでしょうか。街の構造も全く違ったものになっていくでしょう。 EVは道路から無線給電でもよいわけです。エネルギーは無限にあるので、そこでエネルギー効率が多少悪くても全然OKになってしまいます。
電力業界は、実は社会を根本から変えるようなイノベーションが間近に迫っているホットな業界なのです。
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というわけで
実はブロックチェーンの世界からは一旦離れて、電力のほうに飛び込むことになりました。
一応自律分散というキーワードでは共通しているので、ブロックチェーン関連技術なども触ってはいると思いますが…。
でもその前に、マルタ島で2ヶ月の夏休みを楽しんできます。
前回の退職エントリから一年もたってない笑
今週のお題「特大ゴールデンウィークSP」