東方見聞録

オリエント工業の人形を見られるっちゅうことで、移転後はじめてヴァニラ画廊まで行ってきた。「人造乙女博覧会」って何度もやってるはずなんだけど、なかなかタイミングがあわなくて行けなかったのよね。

 
OTOMEはOTOMEでいいのか?
 
にしても、移転前も移転後もどこからこーいうビルを探してきたんだってくらい風情あるビルにはいってる。将来こういうビルで働きたいな〜。

ちなみにオリエント工業のショールームはうちから歩いていけるくらいのところにある。事前予約が必要なのだが、そこまでして見に行きたいッッとはおもわない。

  これまでオリエント工業の人形は何回か見ているが、ここまで至近距離、しかも間を隔てるものもない状態で見たのは初めてである。
 
展示室に入ったとき、予想だにしていなかったが視覚よりも先に嗅覚に刺激が来た。ケミカルな匂い、もっと具体的に言うと真新しいゴムの臭い。最近とある理由で嗅覚が研ぎ澄まされており、匂いに対する感受性が高まっている。なので臭い匂いはすごく臭く感じるのである。
(においに気をつけながら歩いていると、東京ってものすごいにおいが「うるさい」んだなと最近気がついた。もし自分が犬なら発狂してると思う。)

上野公園にいる動物たちの精神的健康状態が気になる

オリエント工業の人形といえばその顔立ちに注目が集まりやすい。たしかに顔はなかなか精巧に作られている。「玉藻前」をモチーフにした人形の顔立ちはなかなかドキドキされられた。
しかし手足の末端に注目してみると全然リアルじゃない。手の指は中に針金がはいったシリコンの棒という感じで、関節のある人間の指よりもDIYerおなじみの「自由自在」のような感じがする。
足の方はもっとだめで、成形された「足型の何か」がそのままぶら下がっているという感じでどうも…。申し訳ないけれども、これに「ハダリー」の名は与えられねーわ、という感じ。
頭と胴体の気合の入り方に比べて手足の気の抜け方は悪い意味でキッチュな印象だった。

基本的には撮影・おさわり禁止だったんだけど、一体だけ触れるドールがあった。正直目の前にしてしまうとなかなか手をのばすのに抵抗があるんだけど、今後そうそう触れる機会もないだろうということで触ってみた。
すると触った感覚も予想と大きく違っていた。硬質なパイプに薄いゴムがはってあるという感じで、「肉の柔らかさ」はそこに存在しなかったのである。

正直に言ってしまうと、世界の最先端技術でもこんなものかーという感じで「よかった!」と手放しに褒めることはできないというのが感想。

ここから進化してきたことを考えれば、すごい進化だけども…

リアル志向であればあるほど粗がみえてしまう。現時点でこういう人体美を立体表現しようと思ったらフィギュアとか球体関節人形みたいに「まがいもの」であることを逆手に取って「まがいもの」としての美しさを追求するしかないのかなーと思った。

ちなみにいうと、僕は高校生の頃に「未来のイヴ」を読んだ時は「ハダリーええやん」と思ったけど、大学生になってから読みなおしたら全然ピンとこなくなってしまった。たぶん今の自分がエワルド卿だったとしたらミス・アリシア・クラリーで満足するだろうなと思う。
いつのまにか僕の中の独身者機械は停止してしまったようだ。