自分がコスプレをやろうと思ったのは、昨年の冬コミにおいてである。
実はそれまでコミックマーケットにはいったことがなく、初めて参加したのであった。
コスプレにはそれまでも少し興味を持っていたが、実際にやっているひとすら見たことがなかったので、初めてのコスプレ広場は頭がくらくらするような異世界であった。
ひとつだけ言えるのが、老若男女コスプレイヤーたちは皆楽しそうであったということである。(何のキャラクターなのかはわからなかったが、「おじいさん」とよばれるような年齢の方も参加していたのは意外であった、と同時にかっこいいと思った。)
そして家に帰ってもそのめまいはやむことがなく、ついに自分もあの魅惑の世界の住人となるべく一歩を踏み出したのであった。自分の周りにはコスプレをやっている人はいなかったので一人での出発である。
来年の冬、自分はあの場所を見る側としてではなく見られる側として訪れたい、そう決意してからいろいろと勉強をした。
中学校の家庭科で習った程度の裁縫技能しか持っていなかったので教室に通いはじめ、自分で形を考え、自分の選んだ生地で衣装を作り上げた。そこの生徒には他にもレイヤーの方がいて、その人たちからもいろいろと話を聞くことができた。
そして小道具作りのために、ライオンボードの加工法はもちろん、幅広い応用が可能な各種塗料の使い方、シリコンによる型取りとレジンでの複製、研磨のしかたなど、造形関連の知識も身につけた。
この一年、最も多くのリソースはここに割いてきた。お金もかかったし、時間もかかった。しかしこれを通じて得た知識はコスプレ以外にも役に立っている。(今はその詳細については今は書くつもりはないが)
加えて自分で物をつくりあげるよろこびというものも痛感した。自分は幼稚園児のころからあそんだ玩具はほぼレゴブロックのみであり、あまり買ってすぐに遊べる既成玩具で遊んだ記憶はあまりない。出来合いのもので済ませるよりも自分で作りたいという性格だった。そこに数々の造形知識が加わったのだから楽しくないはずがない。引越しを機に、自分の部屋は工作がしやすいように整備中である。
というわけで、2012年は目標があれば人は努力できその成果は必ず得られる、ということと自分でものをつくるのは楽しい、ということを学んだ年であった。
あの冬コミからもう一年がたとうとしていると考えると時の流れの速さに驚きを隠せないのであるが、それと同時に自分の成長を見るとたった一年でよくここまでこれたものだ、と感慨深い。
正直裁縫を習い始めたばかりの頃はもしかしたら一年では完成できないのではないかとすら思っていたのだが。
実はまだ一部の装飾品ができていないのので、一年前の自分を裏切ることがないようにあと二週間、制作活動にいそしみたいと思う。