事前予約制、当日入場は空きがある場合のみということだつたが、日曜にふらっと寄ってすぐに入れるような状態だった。
「力」との関わり方の定義が広すぎ?
この展覧会では、「権力」というテーマで美術品をまとめて展示しているようだ。
古今東西の権力者たちは、その力を示し、維持するために芸術の力を利用してきました。威厳に満ちた肖像画は権力を強め、精緻に描写された物語はその力の正統性を示します。また、美しい工芸品は宮廷を彩り、ときに外交の場で活用されてきました。一流の画家や職人につくらせた芸術品は、今も見る人々を圧倒する荘厳な輝きを放っています。そして、多くの権力者たちは、自らも芸術をたしなみ、またパトロンとして優れた芸術家を支援したほか、貴重な作品を収集しました。彼らが築いたコレクションは、今日の美術館の礎ともなっています。
みどころより。
一つのテーマがあるようで、
パトロンとして優れた芸術家を支援したほか、貴重な作品を収集しました。彼らが築いたコレクションは、今日の美術館の礎ともなっています
というところまで権力と芸術の関係だと言われたら結局なんでもアリなのでは、、、という気がしないでもない。 単に「ボストン美術館展」にするのではなく何か切り口をつけたいということだったのかなとは思うが、あんまりシャープではないような気はした。
特に権力が芸術を自らの正当化につかってきたことと関連する展示ゾーンについては、作品自体だけでなく作品がどのように活用されてきたのか?というところにもフォーカスがあたってほしかった。 立派なナポレオンの絵がナポレオンの支配を正当化するために使われたのなら、その絵が誰を対象にどう展示されていたのかという環境まで含めて展示してほしかったという所である。
力の表象の文化
展示会のセレクトの問題だけなのかもしれないが、ヨーロッパの文化、東アジア大陸の文化における、表象を用いた権力の可視化の事例がいくつかあった。
ナポレオンの肖像画
https://lp.p.pia.jp/article/news/239190/index.html?detail=true
日本文化由来のものはなかった。
平治物語絵巻 三条殿夜討巻
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/25826
美術手帖のレポート記事には、
ナポレオンの肖像画について
全身が描かれたルフェーヴェルのナポレオンの肖像画は、シンプルにその姿そのものが「力」の象徴だ。頭の月桂冠は古代ギリシアなどで競技の勝者などに与えられた冠であり、歴史とのつながりを示すことでその「力」の正統性も示していることがわかる。
と書き、一方で平治物語絵巻 三条殿夜討巻について
このクーデターのキーマンである天皇という権力は、日本美術の伝統に則りあからさまに表されてはいない。先に紹介したナポレオン像とは異なる、描かれないからこそ表現される「力」を感じることができるだろう。
と書く。
天皇を明示的に描くかどうかというより、ナポレオンの肖像画は勲章がペタペタくっついていて勇ましい格好をしており、この人は崇高な力でこの国を支配しているのだ、というのをアピールする効果があるだろう。
一方で、「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」の方は誰かの権力を正当化するために描かれたものなのかどうかわからないが、表象を用いるというよりかは、単に歴史の説明になっているように思う。 表彰ではなく、歴史の理解による権力の正当化という感じだろうか。
日本でもそういう表彰を用いた権力の表示は明治維新以降の文化なのだろうか。
そういう違いがあるのでは?と気づいた。
気になった人は
10月2日まで開催中。
たまには鶯谷駅から行ってみるのをおすすめしますよ。