グレッグ・イーガン「祈りの海」を読んだ

グレッグ・イーガンの「祈りの海」(原題:Oceanic)を読み終えた。

英語で読んだのだが、一般的ではない用語があってSFを英語で読むのは難しいなと思った。。 それが英語としてある表現なのか、そのSF世界特有の言葉なのか一見区別がつかない。 例えば宗教関連で「Deep Church」という用語が出てくるのだが、こういうのが何を指すのかいまいち感覚が伝わってこない。

間違っているかもしれないあらすじ

人類が惑星コヴナントに移住してから2万年後のお話。
人類は水上生活する族と、陸上生活する族に分かれて生きている。
ベアトリス信仰とという宗教が信じられており、主人公マーチンは子どもの頃に兄に連れられ神秘体験をした。
海の中に沈められてしばらく経つと神様の存在を実感するような感情を持つという体験だ。
この神秘体験以降、マーチンはとても信心深い人間になる。
マーチンはのちに成長して研究者になるのだが、その中で海の中に含まれる化学物質が神秘体験の原因であったことを知ってしまう。

インスピレーションはあったのか

正直読んでみてインスピレーションがあったのか?と言われると、ない。

神様の存在を信じたことのない自分にとっては、だからなんなのかという感想しか持つことができなかったというのが正直なところだ。

マーチンの経験する神秘体験は、兄に海に沈められて呼吸が苦しくなっていく中、ベアトリスを感じるというものなのだが、これってオウム真理教の水中クンバカとおなじじゃんと思う。

ja.wikipedia.org

あえてリンクは貼らないが、「法友へ」という元オウム真理教の出家信者だった人のブログがおすすめ。 余談だがオウム出家信者の生活についても書いてあったりするが、オウムの生活はイカれたところもありつつも妙に普通な感性もあったようで面白い。

この人は本気で解脱というものがあるつもりで書いているんだと思うけれども、要するに幻覚を見ているだけだ。 しかし呼吸のコントロールというのはそれくらい強烈な体験を生み出しうるものだとも言える。

次は昔のSFを読もうと思う

2つ短編を読んでみたものの、2つとも良さがわからなかったので一旦近現代SFを読むのはお休みすることにした。

昔から存在が気になっていたアルフレッド・ジャリの「超男性」を読んでみようと思う。 これは1902年と100年以上前の作品ではあるが、当時としては未来の1920年の話になっているし、「永久運動食」という謎のテクノロジーも出てくるらしい。