独身者の機械という本を読んだ。内容は読んでもらえばわかるけれども、文芸評論系である。最近新訳が出たけど、それが出るまでは古本屋で2万円を超す値段で売られていることもあったらしい。
紹介されている中で僕が読んだことあるのは『未来のイヴ』、『ロクス・ソルス』、『アフリカの印象』である。
(ちなみに、「花嫁は彼女の独身者達によって裸にされて、さえも」は駒場の博物館にレプリカがある。第二外国語はフランス語選択だったんだけど、フランス語の先生がプロジェクトのリーダーだったそうだ。)
『未来のイヴ』は昔読んだときは良かったはずだったんだけれども、最近読みなおしてみたらいかにもな喪男っぽさがちょっと気持ち悪いなと感じた。ハダリーの解剖学的な説明シーンの魅力は相変わらずだったけれども。
最近の映画の「シャーロック・ホームズ』(一作目かシャドウゲームのほうかは忘れた)のなかでシャーロック・ホームズの部屋が熱帯雨林のようになっているシーンがあったけれども、ハダリーのいる地下室もああいう感じだったのだろうか。部屋に観葉植物を置く文化があるけれども、僕はやるなら部屋全体に土をまいてああいう感じにしたい。
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『ロクス・ソルス』と『アフリカの印象』はともにレーモン・ルーセルの小説で、ともに同じような感じである。(いつも『アフリカの印象』か『幻のアフリカ』かで迷ってしまう)
後者のほうはまだわずかにストーリーラインが存在するけど、ロクス・ソルスのほうはほぼまったくストーリーがない。単にカントレルというエディソン氏のような発明家の家を訪れて発明品の数々を見て帰るというものである。
誰もが読んでおもしろいと思うものではないだろうけど、まずはアフリカの印象を読んでみていけるようだったらロクス・ソルスにいくのがいいと思う。
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『独身者の機械』はこういったある種の作品群の背後にあるテーマというかモチーフであるそうだ。そのキーワードとしては「機械文明、恐怖、エロティシズム、宗教あるいは反宗教」という4つが挙げられている。
これを読んでいて、中学生の頃の趣味を思い出した。(趣味と言っても授業中の暇つぶしにすぎないが。)
たしか2年生のころだが、練り消しを使って顔を作り、壊すというのにはまっていた。
下敷きで押しつぶしてみたり、定規で切断してみたり(このとき、まっすぐ押し切るか鋸挽きみたいにするかでも変わる)ペンで刺してみたり…いかに悲劇的な形相になるかずっとやっていた。なるべく恐ろしい表情をしてくれると満足度が高い。
なぜそういうことをしていいたのかわからないんだけれども、破壊は基本的に何か道具を使っていた。捻る時だけは指を使わざるを得なかったんだけれども、切る、刺すは当然としてつぶすときも必ず何かを使っていた。
というのも、これは制度化された処刑の一環だったからである。理由はともかく、死刑判決を受けた罪人を処刑するという設定のもとで行われていたからである。とはいえ、そいつらが何か罪を犯した存在であるという風には考えていなかったような気もするし、供犠の一種だったのかもしれない。
つまり、「独身者の機械」と通じるものが作動していたといえると思う。
そう考えれば、先に上げた3つの小説を好むのもあらかじめ予定されていた、ということになるのだろうか。