NFT
最近、NFTという言葉をよく聞かないだろうか。 デジタルデータは本来的に無限に複製可能だが、「あるブロックチェーン上では」複製できない所有権を表現できる、というものである。
Web3.0
もう一つ、最近徐々にWeb3という言葉も見るようになってきた。
こちらはNFTと違い、なんとなくの世界観を表す言葉。 なのであんまりはっきりとした定義はない。
Web1.0の世界は、コミュニケーションが一方向だったのがWeb2.0になると双方向になったと言われる。 SNSや動画サイトのように、ユーザーが作成したコンテンツがほかのユーザーに見られるようなWebサービスがその代表だ。
Web3.0というのはさらにあいまいなワードだが、自分なりに説明してみる。
Web2.0になり、Web上にはユーザーが作成したデータというものがうまれた。Web2.0の世界では、それらのデータはWebサービスの側に存在する。ツイートのデータはTwitter社の管理するサーバーにあるし、通販の支払いのデータはVISAなり信販会社なりの管理するサーバーにある。 ユーザーの手元には下書きだったり控えはあるかもしれない。
Web3.0は、個別のWebサービスから独立したパブリックブロックチェーンを始めとする分散型のデータストレージにユーザーの作成するデータが配置され、サービスをまたいでユーザーが自分の作成したデータを所有できるようになる、、といった世界観だろうか。
最近のWeb3.0という言葉の使われ方はもっと狭くなってきて、「クリエイター」がデジタルコンテンツの所有権をNFTにして、そのNFTをクレジットカードに頼らず暗号通貨で買える世界みたいな感じ。
Web3.0は来る、ただし、限定的に
ブロックチェーンエンジニアの端くれだったものとして、クレジットカードにたよらずにすむ暗号通貨は、インターネット時代の「現ナマ」として今後使われていくようになるとは思う。
有料記事を読むためにお金を払うとか、ゲームをアーケードゲームのように1プレーいくらで払うとか、お金を払わせるうまい仕組みがないことで「広告」に頼らざるを得なかったWebの世界に健全な「対価」というものを扱えるようにできる。
しかし、それは暗号通貨の流動性があることが前提となる。 BATで支払いを受け付けたけれどもBATは将来無価値になりそうだと思えばビットコインに変えておくことができる。
支払いを受け付けるだけでよいので、それを受け取ってすぐに他の価値貯蔵手段に変えてもよい。
しかしNFTは来ない
一方でNFTは、特定のブロックチェーンに依存するし、NFTとデジタルデータの対応付は分散的にはおこなわれない。
特定のブロックチェーンへの依存
猫も杓子もNFTになっているが、それがどのブロックチェーン上のNFTなのかまで説明されているものは少ない。 Ethereum上で発行されたチェーンは、Ethereumが誰も使わなくなったら流動性を失うことになる。
NFTとデジタルデータの対応付
NFTがどの現実世界のモノやデジタルデータと対応するかは、誰かが対応付を言わなければならない。 支払いにVISAという第三者が必要だったような信頼できる第三者の存在が必要。 そこにわざわざブロックチェーンを投入する意味はあまりないように思う。
オンラインゲームのアイテムと同じで、発行者の中央集権的なプラットフォームがないと意味をなさない。 データのハッシュ値を含めるとかで、「対応づけができている感」の演出こそできてもブロックチェーン上の記録を現実世界を含むブロックチェーン外の事象と結びつけるのは、分散的には成し得ない。
結論
というわけで、僕なりの未来予想。 最近のスマホはApple PayとかGoogle Payといった決済のフレームワークをブラウザやアプリに提供している。 この仕組みは、いまはクレジットカードに依存している。
こういったウォレット機能が、一部のブラウザからクレジットカードに依存せず暗号通貨を使う仕組みは来る可能性がある。 どんな人でも、インターネット上でAmazonやらShopifyやらプラットフォーマーに依存しなくても商売が始められる仕組みが整うのは健全だと思う。 (個人サイトでプラットフォーマーに依存せずクレジットカード支払いを受け付けられるようにすることはほぼ不可能)
しかし、NFTはバブルで実態がないので先行者が泡銭を手に入れるために狂騒が起きているだけで、すぐになくなると思う。