事の顛末
「トイ・ストーリー」のスピンオフとして、バズ・ライトイヤーを主人公にした作品が作られた。 この中で女性のキャラクター同士がキスをするシーンがあり、このシーンが同性愛をタブーとする国々で問題視され公開禁止となったというニュースが話題となっている。
同性愛をタブーとしている国ということで、主にはイスラム主義国のようだが中国も公開禁止となる見込みだ。
ちなみに、イスラム主義国家にかぎらず同性愛に関する禁止が存在する国はある。
イスラム主義国家以外の同性愛を敵視する国々
中国は同性愛自体は違法ではないが、映画などで同性愛を描いたシーンの放映は禁止されている。なので「バズ・ライトイヤー」も公開されない。 ちなみに、今は経済制裁下なのでそもそもだが、ロシアも「伝統的家族価値の否定を宣伝する情報から子供を守ることを目的とした『健康と発達を害する情報からの子供の保護に関する連邦法』」というのがあり、未成年に対して同性愛を含む「非伝統的な性的関係」の宣伝が禁止ということになる。
また、同性愛者への非公式な迫害も盛んで、チェチェン共和国では同性愛者はチェチェン共和国には存在しないことになっている。
エンターテイメント作品におけるポリコレ配慮について
世論的に「行きすぎたポリコレ配慮だろ」「これまでのハリウッド映画界の常識がおかしい」の対立が深まっているが、自分も前者の立場の意見を持つことが多い。
スターウォーズは、ジョージ・ルーカス時代はたしかに白人しか出てなかった。ディズニーになって、黒人やアジア人を主要キャラクターに取り入れダイバーシティへの配慮というポーズを取り始めた。 (帝国は人間をほかの種族に対して優越した種族としており、帝国軍には人間しかおらず、反乱軍には人間以外の種族も仲間として存在する、、というところで、人間にこだわらないダイバーシティを描いているんだけど)
だが、ディズニーになってからのスターウォーズは徹底的に面白くない。いや、悪い冗談としては面白いのだが。 もはやサブタイトルすら思い出せないくらい記憶から消したがっているのだが、その時の感想記事をご紹介。
EP8を見たときの記事
EP9を見たときの記事
ハン船長とレイア姫が惹かれ合うのは、それまでの経緯があるからわかるのだが、キャラクターとしての魅力が全くないペラペラの「主人公」と、ましてや突然出てきたキャラクターの恋愛模様。まじでこれは誰が面白いと思うのか???
シリーズものの途中からポリコレに配慮し始めてちゃんと面白くまとめてくれるなら全然結構。だが、ポリコレに配慮し始めたと同時に駄作になったら、「ポリコレに配慮した結果つまらなくなったんだろ」と言われてもしょうがない。
手段の目的化
ウォルト・ディズニーの伝記「創造の狂気」を読むと、単に面白いエンターテイメントを作るということではなく、エンターテイメントを通して社会を改良することをミッションと考えていただろうと思われる。この思想はアニメーションにもディズニーランドにも反映された。
ディズニー社も、その遺志を引き継ぎ「作品を通して娯楽を届けるだけでなく社会を改良することを目指そう」という意図は感じる。 けど、「作品として成立した上で」というのを忘れているのではともスターウォーズEP8から感じる。 これじゃあかえって分断を強化する働きをしている。
ディズニー社の考える「こういう社会が望ましいよね」という社会の魅力を描く作品の中で生きたシーンではなく、作品の主題は置いといてとりあえずポリコレ主張しておくか、というのはどうなのか。手段が目的化していないだろうか?
「バズ・ライトイヤー」自体はまだ見られていないので、ちゃんとストーリーの中で問題の「女性同士のキス」が不可欠なピースになっているのならいいのだけれども。 トイ・ストーリーシリーズは1しか見たことがないが、そういう話だったっけ?というのはすでに感じている。
「バズ・ライトイヤー」は、7月1日公開。