いわゆるひとつのバイオポリティクス

昨年コミックマーケットに行って驚いたのは、喫煙所がすごい混んでいたことである。まぁ、20代30代の喫煙率は男性では未だに4割近いし、女性の方は2割以下だけれども近年増えつつあるらしいし、(HIVといい、日本は本当に先進国か?と言いたくなる)その中でも四六時中吸ってないと落ち着かないような中毒者もかなりいるんだろう。
コスプレしたまま吸っている人なんかもいて、自分の衣装大事にしろよ、と言いたくなった。

学歴と喫煙率には負の相関があるとよく言われるが、東大の学部生の喫煙率はせいぜい5%くらいなんじゃないかと感じる。自分のいる学科は高めだと思われるが、それでも2割ほどだろうか。
現SEGの塾長が相当な嫌煙家だったらしく、学生時代自治会に入って急速な分煙化を進めたという話も聞いたことがある。
そのせいか駒場の方は相当厳しく分煙がされている。本郷の方はまだまだだが…。

普通、健康というのはお金も手間もかかるものである。
食事を例に取って考えると、楽に安く腹を満たそうと思ったら塩分も多いし野菜は全然入っていないカップラーメンやマクドナルドのハンバーガーを買ってくればいい。300円もあればよく、手間もかからない。
一方で、一日の塩分を5g以下におさえ、辛いものはもちろん熱いものや冷たいもの刺激物はとらずにしかも野菜を350gとりつつ肉類をなるべく避ける…なんて生活をしつつ毎日腹を満たそうとすれば、外食や既成惣菜に頼ることはできず、自分で材料を買い出しに行き、調理も行わなくてはならない。通常の自炊よりもはるかにお金も手間もかかるだろう。
それに、脂や塩には中毒性があるしそれらの誘惑を我慢する必要もある。

しかし、タバコは逆だ。吸わなければお金もかからないし、手間もかからない。
一日20本吸うというのであれば、おそらく「タバコを吸うためだけ」の時間があるだろう。何も喫煙動作自体にかぎらず、関連用具の買い出しや喫煙所への移動時間も含めれば、結構なものになるだろう。

本来金と手間をかけて手に入れる健康をわざわざ金と手間を払って損ねている、これはなんともおかしな話である。
禁煙は、経済的にも、時間的にも、健康的にもメリットがある。 ほっといても中毒者は吸い続けてしまうのだから、外力で禁煙の手助けをするのは必要なのだ。

よく、禁煙の流れを嫌煙ファシズムだ!なんていう人もいるが、タバコが原因で起きる疾患の治療も医療保険がカバーしているのだから国がそれを減らそうとするのは当たり前の話だ。
たばこ税による収入と、タバコ由来の医療費のバランスがどうなっているかは知らないが、取れるものは取って、減らせる部分は減らす。当然のことである。

ビッグサイトも、そろそろ全面禁煙にするときがきているのではないだろうか。