今月の学び「通信社」2022年5月
テレビのニュースで「ロイター通信によると〜」とアナウンスが言っていたり、ネットニュースの記事で「タス通信は〜」といった記述を見たりしたことはあるでしょう。
このロイター通信やタス通信(イタル・タス通信)が今回のテーマである「通信社」である。
なんとなくニュースを取材している会社だとはわかるけれども、CNNのようなテレビ局やニューヨーク・タイムズのような新聞社のように直接通信社のつくったニュースを見ることは少ない。
一体通信社とはなんなのか?改めて調べてみた。 今回も、3つのキーセンテンスでまとめてみる。
- 通信社はニュースをメディアに販売する会社
- 通信社が出来たとき新聞はニュースよりも言論を重視していた
- インターネット時代に通信社はメディアにも進出
通信社はニュースをメディアに販売する会社
通信社はニュースをテレビ局や新聞社に販売することを本業とする会社。
たとえば、京都新聞のような地方紙は京都という地域に密着し取材網を持っており、「京都のローカルニュース」に強みがある。 しかし、京都の外で起きている世の中のニュースを全く載せないとすると、京都のニュースも知りたいけどもちろん全国のニュースも知りたいという人に買ってもらえなくなってしまう。
地方紙なんかでは、世界中に全国紙並の取材網を持つことはできない。 そんなときに役に立つのが通信社。 通信社はいろんなメディアが共同出資しているような形態がおおく、それを原資に幅広く取材網を持つ。
それを活かしてニュースを作り、メディアに卸す
京都新聞のようなローカル新聞社は、自社で取材網をつかった京都の独自ニュースを強みとしつつ、通信社から買ったニュースも掲載することでそれ以外のニュースものせることができる。
通信社が出来たとき新聞はニュースよりも言論を重視していた
世界初の通信社はフランスのアヴァスで、1835年に生まれた。(現存しない)
ヨーロッパとアメリカでは、19世紀前半に多数の新聞が創刊される。 いまでも日本の新聞とヨーロッパの新聞にはスタンスの違いがあり、速報よりも深掘解説やイデオロギーに基づいた意見表明が重視されるというが、これは歴史的なもの。
ヨーロッパにおける新聞の主な役割は、ニュースを中立の立場で早く伝えることではなかった。 というわけで、生のニュースを仕入れることは今風の言葉で言えばコアコンピタンスではないわけだ。
というのが、取材を通信社にしてもらおうという発想が生まれる土壌だったのではないか?と考えられる。
インターネット時代に通信社はメディアにも進出
というわけで、通信社の本分はメディアにニュースを卸すこと、B2Bビジネス。 しかし、インターネット時代になり、通信社も直接ニュースを配信することをはじめている。
日本の共同通信社
アメリカのロイター通信
フランスのAFP
といった、自社ニュースサイトを持ち情報を配信するようになっている。
また、ロイター通信なんかは「コラム」という形で、「分析」記事も配信している。
これまでの情報から考えると、本来だったら新聞社の領分であるところに越境してビジネスを拡大しようとしているということだろうか。
読書ガイド(参考文献)
挑戦する世界の通信社
世界の主要通信社の歴史と、求められる役割が変化する中でどういう試みをしているかを取り上げている本。
通信社ってよく聞く割になんだろう?と思うのだが、書籍で参考になりそうなものが↑くらいしかなかった。
インターネット上には「通信社って何」という記事があるのだが、インターネット普及以前に通信社って何?どんなことをするところ?っていう体系だった情報はあったんだろうか。
来月の学び
「ユーロクリア・クリアストリーム」といった決済機関・手形交換の仕組みに興味があるんだが、通信社以上に簡単そうな説明書が少ない。 図書館で借りられるかどうか?