徴兵と想像の共同体 横田基地 日米友好祭2022に行ってきた

一ヶ月前の話になるが、横田基地のフレンドシップデー「日米友好祭2022」に行ってきた。 福生にある横田基地のお祭りである。2日目にはバイデン大統領が来日したことでも注目を浴びた。

www.yokota.af.mil

コロナウイルス流行の関係で、2年おやすみして久しぶりの開催ということで激混み。牛浜駅到着から入場するまで3時間ほどかかった。

基地グルメ

基地内のレストランには入ることができないが、いくつかのレストランが出店という形で出店していた。その中の一店舗のステーキを食べたのだが、またこの肉がパサパサ、、、なのになかなかおいしい。

日本では赤身でおいしい肉というのはなかなかないが、アメリカンなステーキだけあって赤身が美味しい。 (そういえば、KFCの人気部位も日本とアメリカでは全然違うらしい。)

あとは、変な色のゲータレードも買えた。

出典:https://www.walmart.com/ip/Gatorade-Thirst-Quencher-Sports-Drink-Variety-Pack-20-oz-Bottles-12-Count-Sampler/368213666

子供のころに行った横須賀のフレンドシップデーでは当時日本未上陸のマックフルーリーを買えたのだが、Lサイズのドリンクぐらいのカップにソフトクリームが詰まってて、、そういう海外のファストフードも期待していたんだけど残念ながらなかった。

やはり空軍基地の方が住んでいる人も少ないのだろうか。 アメリカ感を味わうには、横須賀とか沖縄の方がいいんだろうなぁと思う。

展示

空軍基地なので飛行機の展示もいくつか。

F-35

目玉だったらしいF-35はアメリカ空軍のも航空自衛隊のもあった。

C-5

まぁ大きいといえば大きいんだけど、「世界最大級の飛行機」というと小さいような気がしてしまう。

フレンドシップデーゾーンは基地の一部で、奥の方の滑走路は普通に使われているしたくさんの輸送機が待機している。

C-5なんかは今の円ドル相場でいえば200億円近い。それが何個もあるのだからとんでもないなと思う。

経済的徴兵制

行くまで知らなかったのだが、横田基地はアメリカ空軍だけでなく航空自衛隊も使っているらしい。というわけで、自衛隊も展示を頑張っていた。むしろ展示に関しては自衛隊の方が頑張っていたかもしれない。 というのも、自衛隊にとっては入隊者の勧誘の場でもあったから。

僕も若く見えたのか笑、自衛隊の勧誘を受けた。

中学校の頃の友達が一人ミリオタを拗らせて自衛隊に入ったくらいで(お弁当に戦闘糧食、いわゆる缶飯を持ってくるような子だった。)その一人くらいしか身の回りにいない。

自衛隊の人数は25万人だが、いわゆる兵士の人たちの在籍期間はそれほど長くない。自衛隊出身者はこの2~4倍くらいいるのではないかと思う。 日本社会が均質だとしたら、もっと自分の周りにも自衛隊とかかわりのある人がいてもおかしくないはずなのだが。 決して自分の生まれがいいと自慢したいわけではないけれども、社会において所属するグループが違っているのは多少なりとも事実だと思う。

jp.reuters.com

がっしりとした体格だが、笑顔が優しい印象の橋本氏は言う。「自衛隊に入ってくる人たちは、貧しい、家の事情で入ってくる人が多いというのが事実」。

一橋大学の佐藤教授は、日本にはずっとポバティードラフト(貧困徴兵)というものがあったと指摘する。そして「おカネをもらって教育を受けながら安定した職に就くことに魅力を感じるような層が、これからもっともっと顕在化してくる」と予想する。

アメリカでも、軍隊に行けばちゃんとした教育がうけられるということで入隊する人は多いという。

dot.asahi.com

こういう現象を、「経済的徴兵制」というそうだ。

ja.wikipedia.org

経済的徴兵制と想像の共同体

ベネディクト・アンダーソンは「想像の共同体」のなかで、国語と印刷メディアがナショナリズムの原動力となったということを述べている。 それまでは、同じ国の中でも言葉も違うしお互い訪れたこともないので、生活圏を超える範囲の土地に愛着なんて持ちようがなかった。しかし、同じ言葉でテキストを介して情報をやり取りするようになり、会ったことはなくても同じ国民に仲間意識を持つようになるという。

同じように徴兵というのは、国民国家の誕生と切っても切り離せない。 軍隊生活という、生まれに関係なく同じ経験をすることで仲間意識というのが強くなるのだろう。国のいろいろなところから集められて、違う土地の人とも一緒にしばらく暮らす羽目になる。 軍隊生活での訓練で思想を教え込まれるというよりかは、「同じ釜の飯を食べた」経験のある自国民と他の人間の間に自然と線を引くようになるんだと思う。

ということで、徴兵制とナショナリズムはお互いを強化しあう関係にある。

それで思うけど、自衛隊もそうだし志願兵制の軍隊が前述のような「経済的徴兵制」と呼ばれるようなリクルーティングになっていたとする。そのとき、同じ釜の飯を食べてないような人たちを守るために命をかけようってなかなか思いづらいような気はする。

自分たちは命をかけないと手に入らないもの(大学に行ける、とか)を生まれながらに持ってる人たちが自分の国にはいる。 そういう連中をなぜ守らないといけないのか?という気持ちが生まれてもしょうがないのではないか。

(さらにいうと軍事に関わるというだけで嫌われがちな日本、そんな中で自衛官をやっている人たちは本当にすごいと思う。)

徴兵制を取らない国が多い西側諸国は、NATOという軍事同盟を作って自国の軍隊だけでなく事実上は複数の国がより集まって自分達を守っている。 これって、中世のヨーロッパ諸国の軍隊が傭兵で成り立っていた時代への揺り戻しにも見えないだろうか。

グローバリゼーションで国境が低くなる現在、国境がもともと低かった中世ヨーロッパの社会の歴史を学ぶことには意味があるかもしれない。