トラのぬいぐるみの思い出

ついに、プロスポーツが観客を入れての試合開催を可能にした。 この状況で大丈夫かなとは思いつつも、人は感染症対策をするために生きているわけでもないし、これも新しい運命として受け入れていくことになるのだろうか。 年間3万人弱が交通事故で亡くなっているけど、車禁止とはならないようにコロナという脅威も、ある程度しょうがないと諦めるようになっていくんじゃないかと思う。

スポーツとぼく

我が家は基本的にスポーツにそれほど熱中するタイプではなく、お金を払ってスポーツ観戦をした覚えがほとんどない。去年はじめてチケットを買って野球観戦をしたくらい。 (それまでも新聞販売店からもらえるタダ券で行ったことはある)

国際大会とかもあまり見る方でなくて、父親がケーブルテレビでたまにテニスや自転車レースを見たり、僕が冬季オリンピックのスキークロスとかスキーハーフパイプを流し見しているくらいだろうか。

とある阪神ファンが集う居酒屋

今住んでいる家の近所に、阪神ファンが集うという居酒屋があった。 試合がある日は、いつも店内がいっぱいで外まで声が聞こえるくらい盛り上がっていた。

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阪神の成績がすごく沈んでいた年なのでおそらく2018年だと思うが、その店から喧騒が消えた。 成績が落ち込み、試合を見たいという人も少なくなってしまったのだろうか。明らかにシーズンがすすむにつれて静かになっていったのを覚えている。

そしていつのまにか、順位が決まるまでにその店自体が営業しなくなってしまっていた。 とはいえ、正確にはいつなくなったのかもわからず、一度も入ったこともないので、そういえばなくなったなぁという程度だった。

トラのぬいぐるみ

しかしその数カ月後、その居酒屋とはすこしはなれたところで、トラのぬいぐるみを大事そうにかかえてトボトボと歩いている人をみかけた。 人の方にはまったく見覚えがなかったのだが、そのトラのぬいぐるみは間違いなくその居酒屋のものであった。 おそらく、そのトボトボとあるいていた方が、閉業した居酒屋の店主だったのだろう。

GoogleMapのほうの口コミには、店主の方が入院して長期休業→再開できぬまま閉業となってしまったという情報をみつけた。 今ではその建物もなくなり、マンションが建とうとしている。

あのときトラのぬいぐるみをかかえて歩いていたのは、閉業することになってから大事なトラのぬいぐるみを持ち帰っている途中だったのだろうか。

まぁ、高齢そうだったしもともと体を悪くしていた可能性もあるけれども、やっぱりその年の阪神の成績が精神的にその方を追い詰めて体の方もますます悪くしてしまったんじゃないかと邪推してしまう。

自分の体を悪くするまでの応援

自分がチームメンバーであるわけでもないのに、自分の体調を左右するくらいスポーツチームの勝敗や順位に影響されるというのは幸せなのかわからない。

たまに応援で大声出してストレスを解消して、スポーツがあることで自分の人生が豊かになるというのはちょうどいいスポーツとの付き合い方だと思うけれども、そのおかげで体調を崩してしまっているのであればそれはスポーツと出会わなかったほうが良かったのではないか?と傍からは思ってしまう。

もちろん、何か熱中できることがあるのはよいことではあるが、自分の努力ではまったくもってどうしようもないものに自分の幸せを委ねてしまうのは、こわいなぁと思う。


タイガース応援団長 枚方はん③【中山家×くりぃむしちゅー】