虎徹という名の剣

最近、父親が50年以上前のテレビドラマ「新選組血風録」というのにハマっていて、たまに一緒に見ている。 (このドラマ、時代劇専門チャンネルでは何度も何度も繰り返し放送されている人気作品なうえに2007年くらいにも大規模なブームがあったらしい。)

新選組血風録 DVD-BOX1【DVD】

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  • 発売日: 2011/12/09
  • メディア: DVD

新選組の思い出

僕はといえば、香取慎吾主演の大河ドラマ「新選組!」の放送期間中にちょうど京都に住んでいて(当時中学生)、幕末大好きでちょうどそのとき歴史系の大学に通っていた従姉妹がよく泊まりに来ていて僕の家族も一緒に新選組ゆかりの地をめぐったりしていたので平均よりは知っている方かもしれない。 「誠」の旗を作って新選組ごっととかしていたこともある気がする。

挙句の果に、中学の途中で転校してしまったおかげで、京都を離れて1,2ヶ月後くらいに京都に修学旅行で訪れることにもなった。

ちなみに、僕の見ていた「新選組!」には新選組血風録のキャストの人がたくさんゲスト出演しているらしい。

当時住んでいたのが西大路七条よりすこし東(京都南病院のあたり)と比較的新しい町だったのですぐ近くに何かがあったというわけではないのだが、自転車で京都駅近辺に行くときには油小路事件の跡地のあたりを通っていた。 最も仲の良かった友達のご家族が京都タワーで働いていたため、毎週のように京都タワーに登っていたのである。

新選組について改めてみる

さて、そんな新選組だが、あらためて見るとすごいできすぎな話だなと思う。

新選組の存続期間はできたのが1863年(前身の浪士組も同様)、解散するのが1967年となんと4年に満たない。土方歳三戦死が1969年なので、そこまでを広義の新選組の活動としても、6年にも満たない。

そして、新選組の中核メンバーである近藤勇はじめ土方歳三、沖田総司、井上源三郎、山南敬助、永倉新八、原田左之助、藤堂平助、斎藤一はもともと同じ道場で剣術を習っていた、10代20代をともに過ごした友人同士なわけである。

そんな集団が、日本の主権を争うような抗争のなかでも主要な団体として活動していたっていうのは今で考えたらなかなかすごい話のように思う。


戊辰戦争のころのナントカ隊って、勝手に仲間を集めてどっちかについて戦うという義勇軍みたいなものが多かったのだろうか。 少なくとも中央集権的な指揮制度はなかったように見えるけれども。

新選組とポップカルチャーの相性の良さ

ライトノベルなどの一種にセカイ系というものがあるらしい。Wikipediaから孫引きすると、

セカイ系とは「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」

ということであるようだ。

新選組って、リアルにこのセカイ系を行っているようなものじゃないだろうか。※

上記で紹介したセカイ系の定義では、主人公(男性)とヒロイン(女性)と限定されているのでそこは友人同士の関係に広げる必要があるが、近藤勇と土方歳三の関係性が、少なからず明治維新やその後の日本の歴史の動向に「直接」関わっていたといっても過言ではないだろう。 戊辰戦争では板垣退助と直接やりあっていたわけだし、、。

当人たちは、次の歴史を見ることなくいなくなってしまったわけだが後から見るとドラマとしてはできすぎと行ってもいいくらい出来上がっている。 これはなるべくしてポップカルチャーのネタになったといっても過言ではないだろう。

新選組を題材にした作品がやたら多いのも、納得。

※セカイ系作品の特徴はもう一つあって、主人公(ぼく)は無力な存在でヒロインが世界の危機と密接な関係をもっているというのがそうなんだとか。というわけでこちらはあてはまらない。