バレエをなぜみるのか

理由は省くけど、北京大学校友会(東京大学じゃなくて)というところ経由で「2016 松山バレエ団 ロミオとジュリエット」のチケットをもらったので見に行ってきた。

バレエじたい初めて見たので、評価しようがない


ベニスの商人、夏の夜の夢(テンペストも読んだ気がする)は内容を知っていたけども、ロミオとジュリエットは全く知らない。夜王に出てくるホストクラブの店名の由来ということくらいしか…。

  
そんな状態で見に行ったので、当然内容はまったくわからない。知らなかったんだけど、バレエって全く言語要素がないのね。セリフがないのはもちろん、幕間に説明が入ることもない。本当にみんな踊ってるだけ。
だから途中まで誰がロミオ役なのかわからなかったし、各シーン登場人物がどんな心境なのかもまったくわからない。(足をふわふわさせてる時はなんとなく楽しいのかな、という程度)

バレエが高級舞台芸術として扱われるのはここが所以なのだろうか。大衆演劇は口語のセリフがあるから見ればわかるし、オペラもいちおう台詞がある。(多くの人にとって母語ではない)だから、コンテクストを持っていなくとも見に行けばなんとなくわかる。
でもバレエはそういうわけにはいかず、ストーリーをあらかじめ知っている必要もある。またそれぞれの動きがどのような感情や物語素に対応しているのかといった部分も知っていないと楽しむことができない。

バレエこそがクラシックな舞台芸術のなかでもっともハイコンテクストなものといえるのではないだろうか。
だから、バレエを楽しめるということは、観劇という非生産的な行為を日常的に行うことができる、またその行為のために十分な準備を行うことができる金銭的/時間的余裕を有していることの証明となる。
つまりバレエを楽しむことはわかりやすい卓越化である。

というのもあってか、Bunkamuraにはそこそこ有閑階級っぽい老夫婦や子供にバレエをやらせてて見せに来たって感じの親子など、プチブル臭のする人々ばかりが集まっている。

「コッペリア」だったらもっと素直に楽しめたのかなぁ?(一時期ホフマン読んでたので)