東京都現代美術館で開催中の企画展「MOT ANNUAL 2023」に行ってきた。
MOT ANNUAL 2023
行ったことはなかったがANNUALというくらいなので毎年テーマを決めてやっているそうだ。 今年のテーマは「シナジー、創造と生成のあいだ」ということで、生成AIブームに影響を受けていそうだ。
行こうと思った理由としては、4年前に森美術館でやっていた「未来と芸術展」というのが個人的には面白かったのでそれみたいなものかなぁ?と思ったから。
印象に残った展示は花形槙さんの「still human」。
人間の顔以外のどこかにカメラを取り付け、そのカメラの映像を装着したHMDに映すようにする。
そうして行動することで、自分の体のイメージが再構築されるみたいな。
現代アートの意味合い
MOT ANNUALの説明には
「MOTアニュアル」は1999年に始まり、若手作家の作品を中心に現代美術の一側面をとらえ、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展のシリーズです。
とある。
現代美術とは一体なんなのか?少しわかってきた気がする。
テック企業のdemo or dieカルチャー
WIRED的に言えば「テック系」企業のカルチャーの一つに「デモ」がある。 「テック系」と普通のIT企業を分ける境目は何か?
一つの答えとしては普通のIT企業のプロダクトは紙でやっていた業務をデジタル化しますよというものも多いが、「テック系」と呼ばれる企業はデジタル技術によって初めて実現されるという区分けができないだろうか。 裏を返すと、ユーザーにはこれまで行っていなかった行動様式を持ってもらう訳だ。
請求書の発行業務はパソコンが生まれる前からあるが、世界中に140文字でメッセージを公開するのはインターネットがなかったら想像もできなかった話である。
紙の請求書を送らなくても、メールアドレスさえわかれば送信できるんですよ。これはデモがなくても文章で伝達可能だ。 しかしTwitterのコンセプトをTwitterを知らない人に伝えるには目の前で実践しないと、文字の上でわかったつもりになっても伝わらないものが出てくるだろう。
現代美術は「デモ」
現代美術のやっていることは、この延長上にあるのではないかと思った。
起業家は常に「自分が作る・いい未来」をデモする訳だが、現代美術の場合はそうとは限らず他人が作ろうとしている・悪い未来のデモの場合もあるだろう。
例えば「未来と芸術展」にも出展していた市原えつこの「ディストピアの美食」。
現代美術とは、作家の考える「テクノロジーがどんな未来を生み出すか」をデモの形で可視化するという試みなんじゃないか?と思った。
スペキュラティヴ・デザイン
このような手法をスペキュラティヴ・デザインというらしい。
スペキュラティブデザインとは、クリティカルデザインとサイエンスフィクションの両方の要素を取り入れた、これからの未来社会がどう在るべきかを深く洞察し、あり得るかもしれない世界の在り方を予測するデザイン手法です。
最近、ビジネス書ばかり読んでいて世界が狭まっている感覚もするので、こんな本を読んでみようと思う。
『20XX年の革命家になるには』 長谷川愛
『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。』 アンソニー・ダン
—-
企画展INFO
出典アーティスト
荒井美波、後藤映則、(euglena)、Unexistence Gallery(原田郁/平田尚也/藤倉麻子/やんツー)、やんツー、花形槙、菅野創+加藤明洋+綿貫岳海、Zombie Zoo Keeper、石川将也/杉原寛/中路景暁/キャンベル・アルジェンジオ/武井祥平、市原えつこ、友沢こたお